遺言のメリット
遺言のメリットは「法定相続にとらわれず、自分の意思を相続に反映させることができる」ことです。
その結果、遺産分割での相続人間のトラブルを未然に防いだり、特にお世話になった人に多くの財産を遺したりすることが出来ます。
「遺言でできること」をふまえて、どういった場合に遺言のメリットが活かされるのかご覧下さい。
法定相続人以外の人や団体に財産を遺したいとき
特にお世話になった人や、内縁関係の妻、長年尽くしてくれた息子の嫁、家業を継いでくれた娘婿、相続権のない孫や兄弟姉妹、学校や公益団体などの団体に遺言で財産を遺すことができます。
(「遺贈」といいます)
相続財産に不動産があるとき
相続財産に不動産がある場合、法定相続するとその不動産は共有名義になります。
不動産が共有名義になると、次世代・次々世代の権利関係が複雑になるなど、後々のトラブルにつながる可能性が生じます。
こういった場合に遺言で「不動産は妻に、預貯金は長男に」など指定して不動産を単独名義にすることによって、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。
事業用資産を後継者に継がせたいとき
被相続人が自営業者で、事業用資産として土地・建物や自社株式などを保有していた場合で、後継者ではない相続人が事業用資産を取得すると、後々の事業経営に支障を来たす可能性が高くなります。
こういった場合は遺言で「事業用資産は後継者である長男に、自宅や預貯金は次男に」など指定することによって事業用資産を後継者に集中させることができます。
相続人が配偶者と兄弟姉妹のみのとき
最も相続でもめるケースといえます。
配偶者と兄弟姉妹とは血縁関係がないため、どうしても争いに発展しやすいのかもしれません。
こういった場合も、あらかじめ遺言で「全財産を妻に」「不動産は妻に、預貯金は兄弟姉妹に」など指定することでトラブルを防ぐことができます。
なお兄弟姉妹には遺留分は認められていませんので、遺留分への配慮は不要です。
前妻の子と後妻の子がいるとき
前妻の子の親権者が前妻であっても、その子が被相続人の実子である以上相続人となります。
そして前記同様、前妻の子と後妻には血縁関係がないためどうしても争いに発展することが多いといえます。
この場合も、遺言で遺言者の意思をしっかり表示することが効果的です。
婚姻外の子に財産を遺したいとき
家族への気兼ねから生前に認知できなかった子がいるとき、遺言で認知することができます。
認知した子の法定相続分は実子の2分の1ですが、遺言で遺産分割の方法や相続分を指定することによって、それより多く相続させることもできます。
本来なら生前に認知をして家族の理解を得ておくことがベストですが、やむをえない場合は遺言でこういったことも可能です。
なお、認知せずにその子に財産を遺贈することを遺言することもできます。
相続人が誰もいないとき
この場合、遺言がなければ財産は国庫に帰属してしまいます。
お世話になった人や団体に財産を遺したいときは、遺言でその旨を指定することができます。
このように遺言によって、「財産を継がせたい人に継がせる」「死後の遺族間のトラブルをできるだけ防ぐ」ことができます。
ただし、場合によっては「遺留分」に注意が必要です。
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