遺言Q&A

Q.未成年者は遺言をすることができますか?

A.未成年者でも、満15歳以上であれば遺言することは可能です。

未成年者が法律行為をするには通常親権者の同意が必要ですが、遺言などの身分関係に関するものは親権者の同意は不要です。

また、親権者が代理して遺言することは認められません。

Q.認知症の人は遺言をすることができますか?

A.遺言時に意思能力(自分の遺言が法律的にどのような効果を生じるかを理解する能力)があれば、その遺言は有効とされます。

意思能力の有無は遺言時の本人の具体的状況によって判断されますので、認知症の人だから常に意思能力が認められない、というわけではありません。

なお、成年後見の審判を受けた人(成年被後見人)は、意思能力が一時回復したときには医師2名以上の立会いのもと、その証明を得て遺言することができます。

また未成年者同様、代理人による同意や代理で遺言することはできません。

Q.夫婦で一緒に遺言書を書きたいのですが・・・

A.ご夫婦で一緒に遺言書を書くこと自体は何の問題もありませんし、むしろそうされるべきだと思います。

但し、遺言書は別々に書かなければなりません。

一枚の遺言書で2人以上の人が遺言した場合、その遺言は無効になりますので、注意が必要です。

Q.ペットに財産を遺贈することはできますか?

A.遺贈を受けることができるのは、人または法人に限られますので、ペットに財産を遺贈することはできません。

ただし、家族や親しい人にペットと飼育費用を遺贈して、代わりに死後にペットの面倒を見てもらう、と遺言することは可能です。(負担付遺贈といいます)

このような負担付遺贈をする場合は、事前に相手の意思を確認しておいたほうがよいでしょう。

負担付遺贈とは何ですか?

A.簡単にいうと「〇〇を遺贈する代わりに〇〇をしてほしい」と遺言することです。

例えば、「Aに自宅を遺贈する。ただし受遺者Aは遺言者の妻Bに対し生活費として月額○○万円を支払うこと」や「Aに○○万円を遺贈する。ただしAは遺言者のペットBを扶養介護すること」などと遺言することが可能です。

ただし、負担付遺贈の受遺者は利益を超える負担については責任はありません。

例えば、「Aに10万円を遺贈する。ただしAは遺言者のペットBを扶養介護すること」と遺言した場合、受遺者のAさんは飼育費用が10万円を超えた段階で飼育義務がなくなることになります。

また、あまりにも負担が大きすぎると遺贈放棄されることもあります。

負担付遺贈をする場合は、事前に相手の意思を確認しておいたほうがよいでしょう。

ちなみに、負担付遺贈を受けた人が負担内容を履行しない場合、相続人は受遺者に対して期間を定めて催告をしたうえで家庭裁判所に遺言の取消を請求したり、裁判所に訴えて強制執行させることができます。

遺言執行者とは?

A.遺言執行者とは、遺言の内容の実現を行う人のことをいいます。

具体的には、遺言の内容に基づいて、相続財産目録の調製及び交付・相続財産の管理/処分・相続人/受遺者への財産交付などの手続を行います。

遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し、相続人の財産処分権は制限されますので、利害関係のない人を遺言執行者に指定することによって遺言内容をより忠実に実現することができます。

また、遺言執行には専門的な法律知識が必要な場合もありますので、弁護士や行政書士などの専門家をあらかじめ遺言執行者として指定しておいてもよいでしょう。

なお、遺言執行者の指定は基本的には遺言ですることになります。(未成年者・破産者は遺言執行者となることができません)

Q.以前に書いた遺言書の内容を変更したいのですが・・・

A.遺言の内容の取消・変更はいつでもすることができます。

例えば、前の遺言の一部を取り消す遺言や相反する遺言をすることによって前の遺言のその一部が撤回されたことになり、代わって新しい遺言が有効になります。

ただし、遺言の枚数が増えると様式不備によって無効となる確率が高まりますし、遺言者ご自身が遺言内容を把握しずらくなりますので、前の遺言書を破棄(破棄によって遺言全部が撤回されたことになります)して新たに遺言書を作成することをおすすめします。

公正証書遺言の場合は、原本は公証人役場にありますので、公証人役場で一旦取消の手続をしたうえで新たに公正証書遺言を作成することになります。

(公正証書遺言でも、自筆証書遺言の様式で遺言を撤回することができますが、公正証書遺言の大きなメリットである法的効力・保管の確実性が損なわれることになりますので、おすすめできません)

遺贈を受けましたが放棄することはできますか?

A.遺贈の放棄は可能です。

例えば、負担付遺贈を受けたが負担内容が納得できないような場合は遺贈放棄を検討することになります。

包括遺贈(相続財産の全部または割合で示した一部を遺贈)の放棄は、相続放棄同様に相続開始後3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければ単純承認になってしまいますが、特定遺贈(特定の財産の遺贈)の放棄は、相続開始後いつしてもよく、方法も遺贈義務者(相続人)に対する意思表示で足りるとされています。

ただし、一度放棄した後に撤回することは認められていませんので、注意が必要です。

Q.Aさんあてに財産を与える遺言書をつくっていましたがAさんが先に亡くなりました・・・

A.残念ながら相続開始前に受遺者が亡くなった場合、遺言はその部分について無効になります。

結果、無効となった部分は法定相続されることになります。

新たに遺言書を作成したほうがよいでしょう。

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カテゴリー:遺言について

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